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アゲマン!
第2章 追加される謎
そのまま、カウンターの席に座った男とカウンターの中に立った女2人の沈黙が続く…。
おもむろに男がミリタリージャケットのポケットからタバコを出して火を点ける。
「灰皿も貰えないのかな?」
男がクスクスとド素人である沙那達を笑う。
「すみません…。」
慌てて沙那が男の前に灰皿を出した。
「店のオーナーは?」
苦笑いをした男にそう聞かれた。
「私です…。」
沙那は素直に答えた。
「だけど、水商売の経験は0だよな?」
「はい…。」
「何故、店を開けようなんて思った?」
「ちょっと、複雑な事情がありまして…。」
「おしぼりも出さない。酒の注文も聞かない。客のタバコに火も点けない飲み屋なんか普通は存在をしないぞ。」
男の言葉に沙那はまた慌てておしぼりを男に出し
「何を飲まれますか?」
と聞いた。
男はただニヤニヤとして笑い続ける。
そして…。
「バーボンを氷無しで…。」
と答えた。
バーボンってどれだろう?
沙那が酒瓶のラベルを見ている間に美春が普通にあったグラスを用意する。
「10オンスは水割りやハイボール用のグラスだ。女の子がビールを飲む場合は6オンス。カクテルなら8オンス。ストレートやロックは当然ロックグラスだ。」
男の言葉に今度は美春がアタフタとしてしまう。
グラスは確かに様々なものが棚に入っている。
だが、その違いを沙那や美春にわかる訳がなく、普通にジュースを飲むようなグラスを出した為に男に違うと指摘をされた。
美春への注意が終わると次は沙那へと男が言う。
「バーボンはその棚にある酒の中では1本しかない。七面鳥の絵がラベルにある奴だ。ターキーだが、俺の好みはハーパーだな…。」
そんな風に言われてもお酒を飲まない美春と沙那にはさっぱりわからない話だった。