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アゲマン!
第3章 更に深まる謎
告白は草太からした。
沙那は初めての彼氏というだけで浮かれて付き合いを始めた。
交際は順調だった。
休日に映画を見たり遊園地に行ったり…。
草太は良き青年で沙那とは手を繋ぐ程度の男の子だ。
付き合いは3ヵ月を過ぎ、ある日、2人は海へとデートをした。
別に泳ぎに行った訳じゃないが、沙那達が通学に使う電車の最終着駅が海だからと散歩気分で行ったのだ。
沈む夕日を見ながら、沙那も草太も雰囲気に流されたようにキスをした。
奥手な草太だから、つたなく不器用なキスだった。
それでも沙那には初めての経験であり、胸がいっぱいになるほどに高鳴りときめいていた。
その僅か一週間後、草太が駅の反対側のホームを沙那とは違う女の子と手を繋いで歩く姿を沙那が目撃をしてしまう。
そんな光景を信じたくはなかった。
事の真相を知りたくて翌日には草太の学校の前まで行き草太が出て来るのを待った。
出て来た草太は両手に花と言わんばかりに女の子をぶら下げている。
「先輩?この人は知り合い?」
草太の腕にぶら下がる女の子にそう言われて沙那は黙って草太から離れた。
その翌朝の電車で草太が沙那の隣りにやって来た。
「なんか急にモテ期が来たみたいでさ。でも心配はしないで、僕が好きなのは沙那ちゃんだけだから。」
自慢をするように草太が言う言葉を沙那は気に入らないと感じた。
今まで沙那が付き合っていた真面目な青年の草太が今は全くの別人に見えるからだった。
「悪いけど、2度と話掛けないで…。」
気丈な沙那は草太にそう言って別れを告げた。
本当に小さな初恋…。
そのせいで沙那はますます気丈になり、物事に対して慎重になる癖もついた。