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アゲマン!
第4章 答えが謎
「あの店はあくまでもお前用にと用意をされた店だ。お前の父親については母親は全く語ろうとしなかった。一応、俺の方で今は勝手に調べちゃいるがな…。」
龍平が大きな手で沙那の頭を子供にするみたいに撫でながら言う。
「父さんの事も…、わかるの?」
「探偵だって言わなかったか?」
「とりあえず、あの店は閉めるわ。」
「それがいい…。」
龍平の手はずっと沙那の頭を撫でたままだった。
「心配するな。お前の事は出来る限り守ってやる。今夜はもう送ってやるから帰れ…。」
普通に少年のような笑顔を見せた龍平に沙那は少しだけドキドキとかしてしまう。
心の中では、まだもう少し龍平と居たくて龍平から理奈の話をもっと聞きたいと思った。
そんな沙那の気持ちには気付かない龍平はさっさと出ろと沙那を部屋の外へと促す。
仕方がなく、沙那は龍平の部屋を出て龍平の後をついて行く。
龍平が向かった駐車場で沙那は目を見張る事になる。
「何…、これ…?」
龍平が出して来た車は明らかに沙那が日常では見る事のない形をした車だからだ。
「ウニモグだ。知らないのか?」
龍平はそのおかしな車が如何にも当たり前で普通だという顔をする。
沙那に詳しい車の知識はない。
沙那にでもわかるのは、その車のエンブレムがベンツであるという事だけだ。
そもそも、知識のない沙那が知っているベンツと言えば、普通はフォードアセダンのいわゆるファミリータイプの車。
龍平が沙那を乗せようとしている車はツードアのまるで小型装甲車という車だった。
「4WDのバリオパイロット可変式ハンドルだから、このまま山道に入っても走り続ける事が出来るなかなか便利な車だぞ…。」
龍平はこの車がお気に入りらしい。
部屋とは違い、この車がやたらと綺麗にしてある事だけは沙那にも理解が出来る。