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アゲマン!
第6章 恐怖の謎
「起きたのか?」
扉の前には龍平が立っている。
タバコの匂いがした。
「あ…、うん…。」
まともに龍平の顔を見る事が出来ない沙那が俯いた。
「何?俺が恋しくて探しに行こうとかしたか?」
クスクスと笑いながら龍平が言う。
「馬っ鹿じゃない!?ボディーガードのクセにフラフラとタバコばかり吸ってる頼りない人なんか探したりしないわよ!」
また可愛くない言い方しか出来なかった。
「意外とアゲマンの効果ってないんだな…。」
龍平がため息をついて荷物をまとめ出した。
「どうゆう意味よ!?」
「フェリーを降りる時間だ。朝飯を食いっぱぐれた。昨日、あれだけしてやった割にはアンラッキーなスタートだって事だ。」
龍平はまだニヤニヤと笑いながら沙那にも荷物をまとめさせた。
「感じ方が足りなかったからじゃないの。」
ふんっと龍平からそっぽを向いて沙那が嫌味を発した。
「なら、次は本気を出すべきか…。」
惚けたように龍平が言う。
「冗談じゃないわよ!」
あんな感じ方をまたしてもさせられたら沙那は自分を見失いそうだと思った。
「へぇーへぇー…。」
面倒臭そうに言う龍平が客室から出たから沙那も追いかけるようにして客室を出た。
フェリーを車で降りると龍平はまず手近なファミレスで朝食を取る事にした。
「しっかりと食っとけ。この先は山奥に入るから飯なんか食えなくなる。」
龍平がそう言うから沙那はしっかりと食べる事にした。
なんだかんだ言っても龍平は常に沙那の為になる事だけを勧めて来る男だ。
ファミレスを出ると龍平は停まる事なく車を走らせた。