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アゲマン!
第6章 恐怖の謎
龍平の言う通り、2時間以上を山奥に向かって山道を車は走り続ける。
ファミレスどころか、小さな店すらなくなり、信号もないような道をただ走るだけだった。
相変わらず、龍平の運転中は黙ったままの移動…。
話をしたいが、夕べの事が照れくさい沙那は龍平に話かける事すら出来ない。
気付けば車は小さな村に入っているという状況だ。
その村外れの一番奥にある小さな山の麓に龍平が車を停めた。
「着いたぞ。」
左ハンドルの龍平が沙那が座っている右側の窓を親指で指差した。
窓の外には道路を挟み、石畳で出来た階段がある。
階段には朱に彩られた鳥居が幾つも連なっている。
龍平が車から降りた為に沙那も車から降りる。
階段は山に向かって伸びており、50段程度の階段だが、その上は全く見えない。
「行くぞ。」
「うん…。」
沙那と龍平はその階段を登って行く。
ほとんど人が来ないのか、手入れがあまりされていないのか、階段のそこら中に雑草が生えている。
階段を登り切ると狛犬と小さな祠のようなものが見えて来た。
「これが神社?」
沙那が想像をしていたものとは随分と違う。
「こんな人も来ない場所に観光で潤った立派な神社があるとか思ってたのか?」
「そうは思わないけど…。」
沙那がもごもごと言い訳をする間に龍平は祠の裏の雑木林の中へと続く獣道のような道に入って行く。
「待ってよ。」
沙那も慌てながら龍平の後に続いた。
10メートルもしないうちに沙那達の前の視界が広がった。
そこには見窄らしい神社とは違い立派な日本家屋の屋敷が存在をしている。
表札には『川中』とある以上、ここが母親の実家なのだと沙那はすぐに理解をした。