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アゲマン!
第7章 また増えた謎

「Good night,Rob.」
リンがロブと呼ばれる黒人の男に言った。
ロブは苦笑いをし暗闇に真っ白な歯を浮かばせると神社の境内の方へと、その体格では無理だろうという期待を裏切るスピードであっという間に闇に溶け込むようにして消え去った。
龍平が更にタバコに火を点けようとするとリンが龍平のタバコを取り上げる。
「ボスはこっち…。」
リンがミリタリージャケットのポケットからビスケットのようなものを出す。
「もう少し…、まともな食い物を持って来いよ。」
「贅沢は言わないで、調べ物の途中に無理矢理に呼び付けたのはボスでしょ?」
龍平が受け取ったビスケットは腹は膨らまないがその半分で1日分の栄養が取れるという便利食。
MCIレーション(個人用戦闘糧食)と呼ばれる代物だ。
「その調べ物は進んだか?」
龍平がMCIレーションを齧りながら、その不味さに顔を歪める。
「まだよ…。そもそもこの依頼を受けた事自体が完全に間違いなのに、その依頼外を調べるとか今回のボスは間違いだらけよ。」
リンは龍平に不服の顔を向けた。
「仕方ねぇだろ…、断る前にクライアント(依頼人)が死んじまったんだから…。しかも報酬を一方的に振り込まれた以上はやるしかねぇんだよ。」
「本当に、それだけ?報酬ならクライアントの娘に返せば済むでしょ?彼女はそのお金で逃げる事も他の人も雇う事が出来るわ。」
「もう受けちまったから、文句を言うな!」
「本国がうるさいのよ。ボスはまだかって…。」
リンは龍平を叱る母親のような口調で龍平に文句を続ける。
「うるせぇ…。」
龍平は子供みたいにリンに背を向けた。

