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アゲマン!
第7章 また増えた謎

座敷牢の鍵を外し木の格子扉を千恵が開ける。
「外に沙那さんを迎えに来た変な人達が居るの。」
千恵は無表情のまま沙那に声をかけた。
夕べから座敷牢の隅で全てを拒絶したような沙那はずっとうずくまったまま顔を上げようとはしなかった。
千恵が運んだ食事にも手を付ける事はなかった。
その沙那が千恵の言葉にゆっくりと頭を上げて立ち上がる。
「千恵さんも一緒に行こう…。ここに居る必要なんかないわ。巫女はもういないんだから…。」
沙那には外に来た迎えは龍平だとわかっている。
だからこそ、今なら千恵を救い出せるチャンスだとも思った。
理奈は自力で逃げ出した。
沙那は龍平に助け出される。
残された千恵が不憫でならないと沙那は感じてしまう。
「行かないわ…。私は巫女がいいもの…。」
千恵は沙那が寝かされていたベッドに座り、沙那とは一緒に行く気はないと態度で示した。
千恵の考えを理解が出来ない沙那は千恵の横をすり抜けるようにして座敷牢から飛び出した。
石壁に囲まれた通路を抜け、石壁に囲まれた石で出来た階段を上がる。
沙那の前に木の板扉が見えたからその木の板扉を開く。
何も無い板の間の部屋があった。
木の板扉を閉めると一見しただけでは、普通の壁に見える為に、そこに扉があるようには見えないという隠し扉なのだと理解をした。
お次は木の引き戸を開けると薄暗い長い廊下が見える。
その廊下の途中に沙那が通された客間があり、沙那のバッグがそのままになっているから沙那はそれをひったくるようにして玄関へと向かった。
玄関には沙那の靴…。
それを履き玄関の扉を開ける。
有り得ないほどの眩しさに目が痛くなった。
門の木戸のところに叔母である理恵が見える。
本当は喉がカラカラで足もふらつき歩くのも困難な状況の沙那である。

