この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アゲマン!
第8章 落ち着きのない謎
なのに龍平は容赦がなく、寝ぼけた沙那をまたしてもシャワー室へと押し込める。
「フェリーを降りる時間なんだよ!また朝飯は食いっぱぐれた。やっぱりお前のアゲマンってやっぱりその程度なんだろ?」
「知らないわよ!アゲマン初心者の私に言わないでよね!」
なんだかんだと平和な喧嘩である以上、2人は充分に幸せであり、それはある意味で沙那のアゲマン効果だと言えなくもない。
今回は熱いキスを交わす余裕も本当になく、ドタバタの中で2人はフェリーに積み込まれている車へと走る羽目になった。
フェリーは無事に大阪湾へと到着をする。
龍平達も無事に車でフェリーから降りた。
ここからは約6時間の高速道路の旅だと思っていた。
1時間後…。
龍平が向かったのは新幹線の駅前だった。
「この先はリンが付き添うから、ここからは新幹線で帰れ。」
まさかの龍平の言葉だった。
「なんで…?」
「俺にはまだ仕事があるからな。」
更なる龍平の追い討ちの言葉…。
沙那と龍平の関係はあくまでも理奈の依頼によるもので成立しているのだと沙那は悟った。
可愛いとか綺麗だとは言われた。
欲しいとも言われた。
だが、好きだとか愛してるなどの恋人としての言葉は言われた事がないと沙那は気付く。
龍平が沙那を車から下ろし沙那の顔に龍平の手が触れる。
キスをしたいと沙那は望むが龍平はすぐに踵を返すと車に乗り込んだ。
リンが見ていたからだ。
数メートル先のターミナルの入り口には、もうリンが沙那を新幹線に乗せる為にと立っていた。
リンに促されるように沙那はターミナルに入った。
美春への土産にと土産用たこ焼きと関西オリジナルのスナック菓子をいくつか買った。