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アゲマン!
第8章 落ち着きのない謎



「新幹線の時間だから、早くしてくれる?」


リンが冷たく沙那に言う。

仕方がなく、沙那は新幹線にリンと乗り込んだ。


「龍平の部下なの?」


龍平と同じように移動中を沈黙しているリンに耐えられないと思い沙那から話しかけた。


「それが?」


それが…、沙那に関係あるのか?

そういう態度のリンに沙那は気丈にも立ち向かう。


「そもそも、貴女も龍平も何者なのよ?」


誰もが振り返る美人のリン。

その服装はミリタリージャケットにカーゴパンツというマニアックな服装である。


「ボスから聞いてるでしょ?今は貴女のボディーガードでクライアントは貴女の母親、貴女はあくまでも護衛すべきターゲット、それだけよ。」

「それだけって…。」

「悪いけど、私の仕事はあくまでも貴女の護衛で貴女の質問に答える事じゃないわ。」

「でも自分の護衛でそばに居てくれる人の事くらい、少しは知っておきたいのよ。」

「ボスの事?」

「そうよ!」


沙那はムキになるがリンが露骨に嫌な顔をした。


「ボスは規律に厳しい人よ。当然、自分自身にも厳しい人だわ。そして、ターゲットと迂闊に不用意な接近をする事は本来は許されていない行為なの。そう言えばわかるかしら?」


リンの言葉からは沙那が龍平にとっては迷惑な存在なんだという事だけは理解をした。

これ以上はリンとの会話は不可能だと感じた沙那は携帯で美春にメッセージを入れた。


『今、新幹線…、昼過ぎには帰れるよ。お土産あるからね。』


しばらくすると美春からの返事。


『何時の東京駅?迎えに行こうか?それとも私はお邪魔かしら?(笑)』


と帰って来る。

龍平と居るならと気を使う美春だが、沙那は今すぐにでも美春に会いたいと思った。



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