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アゲマン!
第9章 寂しい謎
リンが居る。
つまり、まだ龍平との契約が続いているのだという安心感が湧いて来る。
「龍平…は?」
「ボスなら今は本国よ。急に仕事の依頼が増えて人の采配に困ってるの。」
やはり、龍平が望まなくとも沙那の影響が出ているのかと沙那に不安が襲う。
それは龍平が望んだ事なのか?
それとも望んでいないのにという、ありがた迷惑な状況なのか?
不安になる沙那にリンが
「とりあえず、貴女の家で話をしましょう。今後の問題もあるから…。」
と言う為に、沙那はリンを連れて自宅へと入った。
「割と綺麗にしてるのね…。」
リンにそう褒めらると少し照れくさくなる沙那はリンの為にコーヒーを入れる。
その間にリンはどこかに電話を入れていた。
残念ながら会話は英語で沙那にはさっぱりわからない。
ミリタリージャケットにカーゴパンツの美人のが英語で話をしている姿をカッコいいとか沙那が思った時だった。
「Yes,boss.」
そう言ってリンが電話を切っていた。
龍平…?
リンがボスと呼ぶのは龍平だ。
「龍平と連絡をしたの?」
リンに確認をする。
沙那はこの3週間…、龍平とは全く連絡が取れていない。
「ええ、そうよ。」
リンの答えに沙那は胸が痛くなる。
「私がかけても繋がらないのに…。」
「当然でしょ?貴女の護衛は私が付いてたんだし、ボスには他の仕事もあるのだから…。」
入れたコーヒーをリンに出した沙那はリンの言葉に俯き、何も言えずに泣きそうになる自分を堪えるしかなかった。
龍平に会いたい…。
その気持ちを、仕事という割り切りの強いリンに言っても無駄だと沙那は悟っている。