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「ネガティブ」のバイブル
第4章 不幸の眼鏡
今日も、のそのそと重い足取りで登校し、教室へ入る。運の悪いことに、正之たちの野球部よりイケメン男子二人のサッカー部の朝練の方が早く終わったらしく、またわけのわからない絡み方をされた。

一人のところを絡まれたら最後まで悪乗りに付き合うしかない。実はマジで経典を読んでお経を暗記してきてたので、本気で唱えてやったらイケメン二人の笑顔がひきつった。

お互いが幸せな別れ方で平和的に解放された俺は、しばらくぼーっと空を眺めていた。

最近よく思うことがある。本当に、仏的な、母なる大地的な何かになれたらって。誰にも知られず、そっと、密やかに人々の暮らしを見守ることができたらいいのに…この雲みたいに。

青い空を、雲がゆっくりと動いていく。


「…羽ばたきたい」
ぽつりと呟き、なんとなく扉の方へ目をやると、ちょうど正之たちが朝練から帰ってきた。

「おはよ」
正之が言い、鞄を肩から下ろした。続いて正之じゃない方の友人も、おはよう、と言った。
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