この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
降っても照っても曇っても(くすくす姫後日談・その4.5)
第3章 降っても、照っても、曇っても
「あー。ありゃあ、先代から仕えてるクロウって奴に言われたんだよ」
「クロウさんって…家令さん?」
先代から仕えていると聞いて、スグリ姫は、大臣から聞いた「先代から仕えている家令がサクナを果物馬鹿だと称していた」という話を思い出しました。
「そうだ。だが、奴にさん付けなんてしねぇで良いぞ。…ま、クロウと俺だけじゃ分からねぇんで、結局は果樹園で時々仕事してる女に頼んでいくつか見立てて貰って、そこからお前に似合いそうなのを選んだけどな」
「お屋敷には居ないけど、果樹園では女の人が働いてるんだったわね」
「ああ、居るぞ。女の方が作業が丁寧だから、収穫や世話する所にも結構な人数が居るが…果物関連の物を買うのは女が多いからな。女に売るものは女に聞くのが一番良いってことで、何を作るか考える所とか、新しい果物を研究する所でも仕事してるな」
「ふうん…」
姫は、そんなにたくさんの女の人が居る中で、サクナと家令のクロウが個人的に頼みごとをするような、特別な人が誰か居るのかしら、と思いました。
「ねぇ」
「なんだ?」
「服を選んでくれたのって、どんな人?」
「気になるのか?」
「…気になるわよ」
果樹園で働いている女性ということは、姫が知らない頃からサクナの傍に居て、知り合ったあと姫が居ない間も、サクナの傍に居る人ということになります。
それは当たり前のことなのは分かっては居ますが、考えるとほんの少しもやっとしました。
「…焼餅か?」
「焼餅焼いちゃ、悪い?」
ニヤリとされて姫が膨れると、サクナは顔を緩めました。
「悪くねぇ。全っ然、悪くねぇぞ…どっちかって言うと良い。いや、すげぇ良いな」
お前ほんっと可愛いな、とサクナは姫の髪に口づけました。
「安心しろ。お前と会う前は毎日毎日仕事仕事仕事仕事死なない程度に食って寝てまた仕事仕事仕事仕事仕事だったし、お前と婚約した後あっちに戻った時は毎日毎日仕事仕事仕事仕事死なない程度に食って寝てお前で抜いてまた仕事仕事仕事仕事だ」
「うん……ん?」
姫は言われた言葉の中に不審なものが混じっていたような気がしましたが、それを尋ねる前にサクナが少し言い難そうに口を開きました。
「クロウさんって…家令さん?」
先代から仕えていると聞いて、スグリ姫は、大臣から聞いた「先代から仕えている家令がサクナを果物馬鹿だと称していた」という話を思い出しました。
「そうだ。だが、奴にさん付けなんてしねぇで良いぞ。…ま、クロウと俺だけじゃ分からねぇんで、結局は果樹園で時々仕事してる女に頼んでいくつか見立てて貰って、そこからお前に似合いそうなのを選んだけどな」
「お屋敷には居ないけど、果樹園では女の人が働いてるんだったわね」
「ああ、居るぞ。女の方が作業が丁寧だから、収穫や世話する所にも結構な人数が居るが…果物関連の物を買うのは女が多いからな。女に売るものは女に聞くのが一番良いってことで、何を作るか考える所とか、新しい果物を研究する所でも仕事してるな」
「ふうん…」
姫は、そんなにたくさんの女の人が居る中で、サクナと家令のクロウが個人的に頼みごとをするような、特別な人が誰か居るのかしら、と思いました。
「ねぇ」
「なんだ?」
「服を選んでくれたのって、どんな人?」
「気になるのか?」
「…気になるわよ」
果樹園で働いている女性ということは、姫が知らない頃からサクナの傍に居て、知り合ったあと姫が居ない間も、サクナの傍に居る人ということになります。
それは当たり前のことなのは分かっては居ますが、考えるとほんの少しもやっとしました。
「…焼餅か?」
「焼餅焼いちゃ、悪い?」
ニヤリとされて姫が膨れると、サクナは顔を緩めました。
「悪くねぇ。全っ然、悪くねぇぞ…どっちかって言うと良い。いや、すげぇ良いな」
お前ほんっと可愛いな、とサクナは姫の髪に口づけました。
「安心しろ。お前と会う前は毎日毎日仕事仕事仕事仕事死なない程度に食って寝てまた仕事仕事仕事仕事仕事だったし、お前と婚約した後あっちに戻った時は毎日毎日仕事仕事仕事仕事死なない程度に食って寝てお前で抜いてまた仕事仕事仕事仕事だ」
「うん……ん?」
姫は言われた言葉の中に不審なものが混じっていたような気がしましたが、それを尋ねる前にサクナが少し言い難そうに口を開きました。