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降っても照っても曇っても(くすくす姫後日談・その4.5)
第3章 降っても、照っても、曇っても
「タンムの妹だ」
「え?」
「あの服を選んだのは、俺とクロウと、タンムの妹だ。タンムの妹はタンムの妹だから、ガキの頃から知ってる奴だ。念の為言っとくが、奴は俺のことは嫌いだから、お前が心配するようなことは一切無ぇぞ」
スグリ姫は、自分の髪を弄びながら「一切心配無い」と言い切るサクナの呑気な様子に、逆に心配になりました。

「嫌いなの?嫌いって言われたの?嫌いなのに、サクナのとこで働いてるの?」
「ああ、耳にタコが出来るくらい言われたぞ。今回も『お兄様のお見合い相手だった人の服を私に選ばせるなんて最低!無神経!本当に大っ嫌い!』とか言ってたな」
「それは、そうね……」
姫は、気まずさを感じました。
知らなかったとは言え、99回目のお見合いが上手く行っていたら自分の義妹になっていたかもしれない人に、そんな事をさせてしまったのです。

「いや。言っとくが、奴が自分で首突っ込んで来たんだぞ。
俺とクロウが服屋呼んで話してたら、わざわざ寄ってきてあれこれ言って来て、仕舞いにゃ『男には任せておけない』とか言い出しやがって…それ聞いたクロウが、是非ご助言お願い致しますとか余計な事言いやがったんだよ。
ウチで働いてるのは、家で決められた仕事なのと、俺は嫌いでも果物は好きだからだとさ」
話を聞いている姫の眉は、知らず知らずのうちにぎゅっと顰められておりました。

「最初に嫌いって言われたのって、いつ?」
「ん?ありゃあ、俺とタンムが大会に出られる十二になった頃だから…妹は学校上がるか上がんねぇかの頃か?兄貴が俺に負けたのが悔しくて言われたのかと思ったが、その後も嫌いだの大嫌いだの顔も見たくねぇだの、何度も言われたからな。兄貴は関係無く嫌われてんだと気付いた時はさすがに落ち込んだが、今じゃ言われ慣れすぎて、挨拶みてぇなもんだ」
「……それ……」
それは、子どもが好きな子に憎まれ口を叩いてしまうという類なのではと姫は思ったのですが、それを言うのは躊躇われ、言葉に出来ずに口籠もりました。

「ん?何だ?」
「……なんでもない……」
スグリ姫は、タンム卿の妹だというその人に少し同情し、ほんの少しだけ悪いような気がしました。
もしもサクナが子どもの頃に言われたことをずっとそのまま信じ込んで居なければ、もしかするとその人がサクナと……ということがあったのかもしれない、と思ってしまったからです。
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