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降っても照っても曇っても(くすくす姫後日談・その4.5)
第2章 白薔薇と赤薔薇
「ほんとに、美味しかった!それに、前に言ってた事を大事にしてくれてたのも、すごーく嬉しかったわ。ありがとう」
スグリ姫が輝くような笑顔でサクナにお礼を言うと、サクナは少しだけ眉を顰めて姫の頭に手を乗せました。
「約束も大事だが、俺が本当に大事にしたいのは、お前だ」
給仕をしたまま立っていたサクナは、姫に袖を引っ張られて長椅子に座り、姫の頭から手を滑らせて、髪を何度か撫でました。
「…こういう時の辛さは、俺には分からねぇからな。男だし、男だらけの中で暮らして来て…生みの親とは早くに死に別れたから、禄に憶えてねぇし」
それを聞いた姫は思わず、サクナのシャツをぎゅっと握りました。
サクナが実の両親のことを口にしたのは、これが初めてでした。
何も無い身で拾って貰った、とは言っていましたが、そうなるまでに何があったのかは、聞かされた事は無かったのです。
けれど、サクナは大した意味無く口にしたのか、姫の髪を撫で続けたままどこかを見ていて、それ以上両親の話に触れることはありませんでした。
「さっきも言ったように、お前を大事にしてぇが、やり方がよく分からねぇことも有る。手前勝手になることもあるだろうから、そういう時は言ってくれ」
「…うん…」
姫は、そんなことはなくて充分すぎるというような何かを言いたかったのですが、また泣きそうになっていたので、頷く以上の返事が出来ませんでした。
「…で、バンシルに、姫に先に言っとけって怒られたんだが」
サクナはそこで一旦言葉を切って、姫の頭をぽんぽん、と軽く撫でました。
「今度あっちに行くときは、バンシルに一緒に来て貰うことになった」
スグリ姫が輝くような笑顔でサクナにお礼を言うと、サクナは少しだけ眉を顰めて姫の頭に手を乗せました。
「約束も大事だが、俺が本当に大事にしたいのは、お前だ」
給仕をしたまま立っていたサクナは、姫に袖を引っ張られて長椅子に座り、姫の頭から手を滑らせて、髪を何度か撫でました。
「…こういう時の辛さは、俺には分からねぇからな。男だし、男だらけの中で暮らして来て…生みの親とは早くに死に別れたから、禄に憶えてねぇし」
それを聞いた姫は思わず、サクナのシャツをぎゅっと握りました。
サクナが実の両親のことを口にしたのは、これが初めてでした。
何も無い身で拾って貰った、とは言っていましたが、そうなるまでに何があったのかは、聞かされた事は無かったのです。
けれど、サクナは大した意味無く口にしたのか、姫の髪を撫で続けたままどこかを見ていて、それ以上両親の話に触れることはありませんでした。
「さっきも言ったように、お前を大事にしてぇが、やり方がよく分からねぇことも有る。手前勝手になることもあるだろうから、そういう時は言ってくれ」
「…うん…」
姫は、そんなことはなくて充分すぎるというような何かを言いたかったのですが、また泣きそうになっていたので、頷く以上の返事が出来ませんでした。
「…で、バンシルに、姫に先に言っとけって怒られたんだが」
サクナはそこで一旦言葉を切って、姫の頭をぽんぽん、と軽く撫でました。
「今度あっちに行くときは、バンシルに一緒に来て貰うことになった」