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夢…獏の喰わぬ夢
第7章 現在

「あなたは、いつもこれは夢なんだって自覚ある?」

「ない方が多いかな。でも蝶になってたら気づくだろう?」

「そうでもないかな。目覚めて気づくかな。
その時は、ああ私は蝶に生まれたんだ。って思い込むもの。

現実への執着心がないのかな。」

「ふうん。」

僕達は銀杏並木に出た。若葉が生き生きとしている。

「可愛い手がいっぱい。秋には、金色になって綺麗でしょうね。見たいなあ。」

彼女はすぐ先の将来もないかのような話し方だ。それが僕を不安にさせる。

「来ればいいじゃない。」

「あら、そうよね。」

まだまだ公園の探検は終わらない。

広場に出ると子供達が無邪気に遊んでいた。

「僕にもあんな頃があったのかな。」

「もう忘れちゃった?」

「たぶん。」

「ねえ、子供と大人の境目ってあるのかな。」

「えーっと…」

「ないよ。
感動することが減って、型にはまることを覚えて、
だんだん死んでいくことを大人になってると思い込んで生きてるだけよ。
私はずっと子供のままでいるわ。」

「君ならできそうだね。」

子供達のきゃっきゃとはしゃぐ声を背にした。


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