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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
「雲みたいって言ってたよね。僕たちは何なんだろか。
やはり有るようでいて、それは一瞬のことなんだろうか」
「難しいわね。
でも、今は居るわ、あなたと偶然か必然かわからないけど出逢えてこうして此処に居る。」
「太陽の光を浴びて、その分曇らせたり、雨で濡れさせながら?」
「そうかもしれない。でも仕方ないことよ。そして、今生きている証を記憶に留め、夢に託す。」
「あの、君は、いつも何か何処かに居なくなってしまいそうな話し方をするよね。とても不安なんだけど。」
「居なくならないわよ。いつもいるわ。
永い広い時間と空間からしたら、ちっぽけねって思うだけ。」
僕は彼女を抱きしめてキスをした。
静かな優しい時間。
唇が離れると彼女はゆっくり瞼を開け、
「本当に間に合わなくなっちゃうわ。」
と起き上がった。
僕達は戻る道も 足早に歩いた。
「ねぇ、私のこと何って思ってたって言ったっけ?」
彼女はわかってて訊いている。
「…隕石」
「流れ星?彗星?宇宙の迷い星?」
「ごめん。訂正するよ。突然降って来たんだ、僕からすれば…」
「でも、当たりかもね。迷いはしないけど、宇宙を彷徨っているのかも。」