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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
「ごめん。君に起こされて余計に混乱した。
教室にいるってすっかり忘れるほど眠ってしまってたなんて。」
彼女は笑っていた。
「珍しいわよね。いきなり天使だったなんて言われて恥ずかしくなっちゃった。」
と少し嬉しそうに言った。
「疲れてる?それにしても変だよ今日。」
「色々あったから疲れが出たかな。」
僕はバイトのことだけは隠し通さなければ、と思った。
僕は彼女をお茶に誘った。
少しゆっくり落ち着いて話がしたかった。
彼女がお薦めの喫茶店があるというのでついていくことにした。
降りたのは彼女の家のある駅だった。
駅の近くの裏道を入って目立たないひっそりとした佇まい、ジャズが静かに流れていた。
彼女はレモンティーを注文した。
「もしかして、コーヒー嫌い?」
「そんなこともないんだけど、カフェインが入ってて眠れなくなるって子供のころ言われて、
紅茶の方が多く含まれるってわかっても飲み付けてないだけ。」
「眠れなくなるって、夢の為?」
「そうよ。疲れたり、嫌な考えに捕らわれるのも良くないわ。
夢を最高の状態で見なきゃね。」
「かなりのこだわりだね。」