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夢…獏の喰わぬ夢
第2章 獏
「いつも私が座りたいと思う場所、あなたの隣の席ってこの辺よねと探しながら座ったわ。
その後、昨日お口に合わないものを無理やり食べさせて、お腹でもこわしたかと、気にしてたところよ。」
「そんなことない。自慢にならないけど、僕はお世辞は上手くないから、本当に美味しかったさ。」
それより、彼女も僕の隣に座りたいのか、座りたい席の隣に大抵僕が居るだけなのか?を訊きたかったが、
ちょうどその時、教授が教室に入ってきた。
「なんだ、いい夢見て寝坊したとか?そんな感じ?」
返事する間がないのを計ったかのように、夢の時と同じ悪戯な笑みをしながら、天使は僕にトドメの矢を刺した。
それは、昨日の夢で、それには君が出てきた。
とノートで筆談でもしたい気分だったが、
「どんな?」
と訊かれたら答えられない。
でも君が主人公なんだよ!!と伝えたい。
独り問答して隣を覗くと、
すでに夢の中にいってしまった彼女の寝顔があった。
彼女の夢に僕の出番はあるのだろうか。
彼女の謎は解明どころか、迷宮入りしていく、彼女を知りたい、早く話がしたい、講義がますます退屈で長い時間に感じた。