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夢…獏の喰わぬ夢
第2章 獏
僕は彼女と沢山話したかったので、移動の少ないキャンパス内の芝生を提案した。
そこは、カップルの御披露目の為にあるような場所で、
ちょっと前まで、一番縁がなく煙たいところと思っていたが、
彼女の返事が僕への気持ちの現れになるかのようで思わず唾を飲み返事を待った。
「いいわね。近いし目立つようでいて穴場かも、
あそこに誰といたか噂になるのは、ごく一部の目立つ人!
それにあの素敵な場所に一人で入るのは勇気いるもの。カップルだけの聖地みたいで許せなかったの。」
はぐらかされたような返事に僕は、戸惑った。
でも、例え噂にならない目立たない二人だろうが彼女の云うカップルの聖地に一緒に居られるのは喜ばしい。
彼女の料理はもちろん美味しかったが、今日は、夢を見続けるコツを聞き出さないとならない。
「君は、見たかった夢の続きよく見る?」
ついこの前、『夢よく見る?』と訊かれた僕が可笑しな質問だったかな。
彼女は少し間をおいて、
「獏って夢を食べると思う?」
返事の代わりに質問が却ってきた。