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夢…獏の喰わぬ夢
第2章 獏
おかしなことに僕にしては珍しく、これが夢の中だと認識しており、
夢の中の彼女は僕が作りあげたものでなく、
彼女も夢をみて、夢の中で僕に会いにきた彼女自身であると判るのだ。
(いくら夢の話をしていたからってこんな都合のいいことあるもんか。)
僕は夢の中の心の中でいつものように呟いた。
「あら、自由のままでいないと夢の世界から出ていってしまうわよ?」
夢の中の彼女は、呟きを聞き取る力があり、彼女の言葉は現実よりリアルに僕の耳にこだました。
「嘘だろ?」
(君も僕も眠っていて夢の中で会っているのか?)
「さあね。疑ったらダメよ!」
「本当なのか?」
目覚めて、僕は掴んでいるのが彼女の肩でなく講本であるのがわかり、
最後の一言が寝言になっていやしないか辺りの様子をうかがった。