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夢…獏の喰わぬ夢
第1章 春
「隣に座っていいかしら?
私、いつも、寝てばかりかもしれないけど、必要ない時は、そのままにしておいてね。」
と、僕の返事を待たずに、隣に座り、すぐに眠り始めた。
一度許してしまったら、
結局、返事はしていないままなのだが、
当たり前のように彼女はずっと僕の隣に座るようになった。
彼女は、僕同様どうでもよいというか、脈略も目的も無い講義の選択をしており、結果、ずっと隣にいることになった。
彼女が降ってきて何日か後、僕は
「一緒にランチしない?」
と彼女を誘った。
特別な感情も興味も無かったが、降ってきたものが何なのかは知る必要があった。
なんせ、ずっと同じ講義を選択しているのに、座ると同時に眠り、講義が終わると居なくなる…で、
隣にいるはずの彼女と一言も話したことが無かったのだ。
「今日はお弁当持ってきたから明日でいいかしら?」
彼女は僕が食堂を利用しているのを知っているようだった。