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夢…獏の喰わぬ夢
第5章 夢の中
上からの人が降りてきて、
「また、しくじった。」
と彼女をなじりながらも、手を引いて彼女を上に連れ戻す。
よくみると、上からきたその人は、もう一人の彼女だった。
僕も彼女も過去と同じ過ちをしてしくじったようだ。
失意のどん底で僕は、
「どうしてだ。
何故、僕にわかるように話してくれない。」
2人の彼女に叫んだ。
と同時に僕は現実の世界に戻ってきた。
夢だった。
なんて後味の悪い夢だろう。何か意味があるのだろうか?
夢の中の絶望がじっとりと僕に汗をかかせていた。
不快感と共に、悪夢をもぬぐい去りたい僕は、すぐにシャワーを浴びた。
彼女の脚を掴んでいた感触がはっきりと残っていた。
僕は自分を守れない無様な僕が彼女を滅ぼしてしまうのだろうか?
現実でも全く頼りない自分に彼女は飽き飽きする日が来るのではないか?
洗い流せない不安を消す為にシャワーの温度を熱くした。
部屋は嫌な空気が充満していた。
窓を開け、汗で濡れたシーツを剥がした。
タオルも、寝間着も目についたものは全て洗濯した。
布団も干した。
もう一度掃除機をかけてあちこちを磨いた。