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夢…獏の喰わぬ夢
第5章 夢の中
昼を過ぎていた。
無い中から、小綺麗な服装を選び、用意したリュックを持って部屋をでた。
ためらいなく、待ち合わせの喫茶店へ向かった。そこで食事しながら彼女を待とう。
そうでもないと、いたたまれないのだ。
僕は何を注文したかも覚えていない。それを口に流し込んだ。
食べ終えてコーヒーに手を伸ばし、何となく落ち着いてきたころ、
なんてことはない、夢はセンセーショナルな講義での出来事と、
今までの彼女の夢に関する話、
バベルの塔と蜘蛛の糸をミックスした僕の創造物だ、
彼女を知りたいのに、知り尽くせない焦りが生み出しただけの。
何なら彼女に解釈を頼めばいいのだ。
僕は、作り笑いをして彼女に話す自分を描いた。
ガラス越しに、彼女がこちらを覗いていた。
僕は彼女が引きつった笑顔の僕を見ていたかを気にした。
「ずい分早かったのね。」
彼女も充分早かった。
「ここで食事を済ませたのさ。」
彼女はレモンティーを注文した。
柑橘類の清々しい香りが僕の気分を爽やかにした。
彼女が知らずに振る舞うのかわからないが、
彼女は僕を幸せな気持ちにさせる魔法を持っている。