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夢…獏の喰わぬ夢
第5章 夢の中
僕も数週間で知らされた、無駄な抵抗は止めて、彼女に委ねるのが一番だ。
「そろそろ、出発する?」
「そうだね。」
「コレってデートっていうのかしら。」
目的地は公園、他に何の決まりもなかった。
だったらデートじゃないか?
店をでた僕は、一昨日は、駅から公園、喫茶店、アパート、駅へと歩き、
今日、一人で喫茶店へきた彼女が、女性特有の方向音痴でないことに気づいた。
「よく一人でここまで来れたね。」
「方向音痴じゃないってこと?だってこのくらいで迷ってたら、夢では迷子になっちゃうわよ。」
迷子になるほどの壮大な夢ってどんなものなんだろう。
「じゃあ僕のリードなんて必要ないだろうけど。」
そう言いながら彼女の手を掴んだ。
デートかどうか?
に的確な返事が出せない僕は、彼女と手をつないで歩きたい。思ったことを行動にした。
掴んだ時、朝方の目覚めの悪い夢そのままの感触を覚え、身震いした。
決して離すまい、悪夢が現実にならないで欲しい。
僕は彼女の手を取り指を絡ませてしっかりと繋いだ。
「こうなったら、誰がみてもデートだよね。」
彼女がまた問いかける。