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夢…獏の喰わぬ夢
第5章 夢の中
彼女は、僕の夢の内容を知っていたのかもしれない、
そしてこの告白が訪れることも、
だからあえて僕に夢の話をするように促したのかもしれない。
だとしても、最初から、
(もしかしたら出会う前から)
彼女は僕を、僕が気付いて彼女に追いつくまでの永い時を、待ち続けてくれていたんだ。
彼女が少し魔法を使って時間を早めたことを、僕が咎めることができるだろうか?
彼女の目からも大粒の涙が、僕の頬に落ちてきた。
僕は、彼女の涙を指で拭った。
「これじゃ傘が必要だね。」
僕は微笑んで彼女を胸の中に包み込んだ。
「こんなにいいお天気なのにね。」
彼女も答えた。
そして、飛びっきりの笑顔で、
「今日はあなたにプレゼントを用意してきたの」
彼女は小さな鞄しか持っていない。
「何?」
「あなたに、温かい料理をご馳走するわ。何が食べたい?」
まだ状況がつかめない。