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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「……!!」
「ほら、見てみて?なんだか前と違ってなあい?」
「……」
何も答えないサクナに、姫は人が見て気付くほどではないのかしらと思いながらも、自分の感じている前との違いを説明しました。

「きついって程じゃないんだけど、前よりぴっちりしてるような気がするの…お洗濯した時、縮んだのかしら?だけど、緩くなったみたいに感じる所もあるのよね…」   
「……」
確かに姫のドレスは、胸の膨らみが前に着たときよりも布をぴしっと張り詰めさせており、ウエストのくびれの辺りが少し緩くなった様でした。腰周りのゆとりは変わっていない様に姫には感じられましたが、他人から見るとその部分の描く曲線は、以前よりも円やかに美しくなっておりました。

「ねえ、どう思う?」
「…育ったな…」
「え!?私、太ったっ?!」
「太ってねえ」
姫が慌てて自分のからだを見回すと、むすっとした声がしました。

「え、だって、今そう言ったじゃ…あ、やん!」
「太ったじゃなくて、育ったっつったんだよ。お前、前よりもっとこいつが似合う体つきになってるぞ…こっちに来てからそんな気はしてたが、この服着てみると一目瞭然だな」
サクナは姫の体を服の上から触りながら、変わったところを確かめました。

「直接触った方が良く分かるが、例えばここは近頃ますます触り心地が柔らけぇのにしっかり張りも有るようになって、後ろから抱くとすげぇヤベぇぞ…」
「あ…そんなふうに撫でちゃやだぁっ…」
「こっちはデカくなったから、服がぴったりし過ぎだ…こうやって固くなったら、バレちまいそうじゃねぇか?」
「ひゃん!そこっ、指でカリカリしないでぇ!」
「あー大丈夫だ、布が厚いから、こんなに固くしててもちょっと見じゃ分かんねえな…そう言や、前に『挟んでみたい』って言ってたよな?良かったな、多分あの時より挟みやすくなってるぞ。ほら、最近、こうやっても手に収まらねぇし」
「ちょ…ぁ、だめっ…あぁんっ、皺になっちゃう、から、ぐにぐにってしちゃ、だめぇ…!」
「こいつぁ茶会じゃ無かったら、即却下だ。披露目の会のドレスはもう少し装飾の付いたのにしねぇと…この辺に布飾りが付いた奴にしろ。無かったら付けろ」
服の上からの確認を終え、布使いに上手く隠されているスリットの様子を確認しながら、サクナは涙目になって息が上がりつつある姫に、不機嫌そうな口調で命令しました。
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