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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「おはようございます、『奥様』」
バンシルはスグリ姫の部屋の扉を開けてお辞儀をすると、背後に目配せしました。

「おはようございます、『奥様』!」
「おはよう、デイジー。おはよう、マーガレット。おはよう、ヴァイオレット。
…おはよう、バンシル」
寝台に身を起こしたスグリ姫は、入ってきた四人の侍女に挨拶を返しました。
最近、この家の主は、新しい侍女の教育に協力してくださいとバンシルに言われた為、朝目覚めると侍女たちが来る前には自室に引き上げるようになっておりました。
姫はそのことを少し寂しく思っても居りましたが、侍女たちはバンシルも含め、嫁入り前の娘です。あまり刺激的な光景を見せるのも宜しくないだろうということで、しばらくは目覚めの睦言は控えめに・大人しく・短めに、という事に決めておりました。

「お召し替えのお手伝いをいたしますね」
「お髪は、今日はどうなさいますか?」
「リネンをお取替えしますわね」
三人の新しい侍女は、女主人に口々に朝の支度について尋ねました。

「みんな、ありがとう。今日はバンシルに相談があるの。だから、着替えと髪は後で良いわ。リネンのお洗濯は、お願いね」
スグリ姫はにっこり笑ってそう答え、その様子を見ていたバンシルは、侍女たちに声を掛けました。

「宜しゅうございます。皆さん、大分慣れましたね」
「ありがとうございます、バンシルさん!」
バンシルは、嬉しそうににこにこしながらも仕事の手は休めない三人を見て、頷きました。

「『奥様』も、大分動揺されなくなって…女主人としての落ち着きが備わって来られて、何よりです」
「バンシル…」
「何ですか?『奥様』」
「それ、慣れない…」
スグリ姫は幼馴染でもある腹心の侍女に向かって、ぶすっと唇を突き出しました。

バンシルは侍女たちにスグリ姫のことを、最初から「奥様」と呼ばせておりました。
今はまだ正式の婚姻前ではありますが、「スグリ様」と呼ばせると、半年もたたずに呼び方を直さなくてはなりません。その上姫はずっとこの屋敷に居るわけではなく、お披露目が終わってから年明けまでと、婚礼前の半月程と、都に戻ることになっているのです。
余程の天変地異が起こらない限り結婚が壊れることは無いだろうと思ったバンシルは、実質三月ほどしか使わない呼び名を憶えさせるより、最初から奥様呼びさせてはどうかと、関係者に提案しました。
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