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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
「…乗ってくれ」
いつもとは違う、衣擦れと息遣いと水音しかしない静かな愛撫を交わした後で、サクナが口を開きました。
サクナの熱っぽい目にじっと見られた姫は、目を伏せてこくりと頷きました。
そのままくるっとひっくり返され、姫は身体を起こして、いつものように腰を落としていきました。
「…ん…」
サクナに抱きたいと言われて始めたことの筈なのに、こうして自分が動いていると、まるで姫の方がサクナを欲しくて始めたことのような気持ちになってきます。
薄く目を閉じてサクナを自分の中に飲み込んでいた姫は、身体の上に付いていた手にふと何かを感じて、目を開けました。
(…あ……)
手を置いた所は、ちょうど、子供の頃に怪我をしたと教えられた、ローゼルも知っているあの傷跡でした。
触れているだけだとはっきりしなかった感触が、目で見たことでまざまざと感じられるものになりました。
目を逸らしても、一度焼きついてしまった傷跡の姿は消せません。
皮膚が引きつれた感触が手のひらを通して、まるで目で見ているかのように伝わってきて、姫は急に喉が詰まったように感じました。
「…っ」
「どうした」
身体の中の奥底で何かが急に膨れ上がって口から溢れ出しそうになりましたが、姫はそれを無理矢理押さえ付けました。
「…ううん…」
(…わたしの)
何か、自分ではないものがとんでもないことを口走ろうとしているのを感じて、姫はぎゅっと目と口を閉じました。
すると。
「きゃ!あ、」
姫の背中に手が回って引き寄せられ、視界がくるっと反転して、気がつくと姫の背は寝台に押し付けられてサクナを見上げておりました。
いつもとは違う、衣擦れと息遣いと水音しかしない静かな愛撫を交わした後で、サクナが口を開きました。
サクナの熱っぽい目にじっと見られた姫は、目を伏せてこくりと頷きました。
そのままくるっとひっくり返され、姫は身体を起こして、いつものように腰を落としていきました。
「…ん…」
サクナに抱きたいと言われて始めたことの筈なのに、こうして自分が動いていると、まるで姫の方がサクナを欲しくて始めたことのような気持ちになってきます。
薄く目を閉じてサクナを自分の中に飲み込んでいた姫は、身体の上に付いていた手にふと何かを感じて、目を開けました。
(…あ……)
手を置いた所は、ちょうど、子供の頃に怪我をしたと教えられた、ローゼルも知っているあの傷跡でした。
触れているだけだとはっきりしなかった感触が、目で見たことでまざまざと感じられるものになりました。
目を逸らしても、一度焼きついてしまった傷跡の姿は消せません。
皮膚が引きつれた感触が手のひらを通して、まるで目で見ているかのように伝わってきて、姫は急に喉が詰まったように感じました。
「…っ」
「どうした」
身体の中の奥底で何かが急に膨れ上がって口から溢れ出しそうになりましたが、姫はそれを無理矢理押さえ付けました。
「…ううん…」
(…わたしの)
何か、自分ではないものがとんでもないことを口走ろうとしているのを感じて、姫はぎゅっと目と口を閉じました。
すると。
「きゃ!あ、」
姫の背中に手が回って引き寄せられ、視界がくるっと反転して、気がつくと姫の背は寝台に押し付けられてサクナを見上げておりました。