この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
(ローゼル様は素敵な方よ…サクナの恋人だったとしても、全然不思議じゃない)
姫はまたどこかがちくちく痛むような気がして、きゅっと口をつぐみました。

(「サクナ様のことをご存知なのはスグリ様だけじゃ無い」って…そんなの、分かってる…)

「…ここに来たのを、後悔してるのか?」
姫が押し黙ったままで居ると、サクナが溜息混じりに思いも寄らぬことを言いました。
「え!?そんな」
そんなことある訳ない、と姫は思いました。
ローゼルとの最後の会話以外は、ここに着いてから今まで、どれも嬉しくわくわくすることばかりでした。

(春からずっとここで暮らすと思うと、何にでも「よろしくね」って挨拶して回りたいくらいなのに…)
どこを見ても珍しいのはもちろん、サクナがずっと暮らして来た所だと思うと、目にする全てを愛おしく感じました。

「違うわ!…後悔なんか、全然してな…い」
姫は思わずサクナの顔を見て、サクナも自分と同じ様に、どこか痛い様な顔をしているのに気付きました。

「…そうか、良かった。そうじゃ無ぇなら、」
言葉が終わらないうちに唇を塞がれ、ぎゅうっと抱き締められました。
口づけの気持ちよさ、煮た果物の甘い匂い、リンゴの紅茶の香り、いつものサクナのオレンジの匂い、全部が混ざって姫の頭はふわふわしましたが、急にあることを思い出して、サクナを押し退けました。

「んっ…ねえ!」
「何だ?」
「バンシルが、待ってるっ」
「そうか?」
姫が喋っているのに構わずあちこちに口づけながら、サクナはいかにも気の無い返事をしました。
「クロウさんもっ」
「待ってねぇよ」
サクナはそこで言葉を切って、意外なことを口にしました。

「…甘えさせろ。」
「え?」
「昨日ヤってねぇ。抱かせろ」
「…でも、一昨日…」
姫はさっき自分が思い出していたことを頭に浮かべて、目を伏せました。

「その一昨日は、お前のお願いを聞いてやっただろ。今日は俺の頼みを聞いてくれても罰は当たらねえ」
「…っ…」
「諦めて、今日は俺を甘えさせろ」
抱き締められて耳元で囁かれ、姫の体はぴくんと小さく震えました。
「う、ん…」
普段、あんなに甘やかして貰っているのです。
甘えろではなく甘えさせろと言われては、断ることは出来ません。
言われた通り諦めた姫は、腕の中で目を閉じて頷きました。
そして、切なげに溜め息を吐きました。
/235ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ