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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「クロウ、ビスカスはどうだ」
「出血は止めました。傷自体はさほど酷く有りませんし、刺し傷だけですので、今のところ命の心配は無いかと…」
「そうか。不幸中の幸いってとこだな。もう一人は、どうなってる」
「骨折と打撲です」
「動かせそうか?」
「ご希望ならば」
クロウの答えを聞いたサクナは、少しだけ考えました。

「ビスカスには、目が覚めたら話を聞きたい。可能なら屋敷に運んで、しばらく客間で看てやって欲しい」
「畏まりました」
「…だが」
サクナは、廊下の奥をちらりと見ました。

「向こうに居る奴は、出来ればお帰り願いたい。事情が有っての事だとしても、スグリを傷付けた奴を穏便に泊めてやれる様な場所は、ここにゃあ無ぇよ」
「御意に御座います。スグリ様、お加減は」
「ありがとう。髪以外は、なんともないわ。…クロウさん、ビスカスさんを手当てして下さって、ありがとう。大事ではなさそうで、ほっとしたわ」
「はい。出血の割には治りは早いと存じます」
クロウとスグリ姫が話をしている傍らで、サクナはローゼルに話し掛けました。

「ローゼル」
「…サクナ様」
「お前…大丈夫か?」
ローゼルは、まるで自身が怪我をしたかの様に顔色を無くし、泣き腫らした目をしていましたが、質問にははっきりと答えました。
「大丈夫ですわ。ご心配下さって、有り難うございます。それより、スグリ様にお義姉様が大変な事を…何とお詫びしたら宜しいのか…」
ローゼルの言葉を聞いて、サクナは目を見張りました。

「お前、刺したのが誰だか、知ってたのか?!」
「ええ。スグリ様もビスカスも教えてくれなかったけど、見てすぐに分かりましたわ。あの鋏は、お義姉様の御守りでしたから」
「御守り?」
「お義姉様のご実家の方では、女が鋏を御守りとして持つ風習が有りますの。刃物が魔除けになると…だから、予めスグリ様を傷付けようとして持って来た訳では無いのだと思います。けれど、意志が有っても無くても、結果的には同じですものね」
ローゼルはスグリ姫に向き直って、頭を下げました。
「スグリ様。お義姉様が怖い思いをさせてしまって、ご免なさい」
「いいえ。ビスカスさんのお陰で、何とも有りませんでしたから…だけど、ビスカスさんが、怪我を…ごめんなさい」
「いいえ。お気になさらないで」
「でも」
言い募ろうとするスグリ姫を、ローゼルは首を振って止めました。
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