この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第4章 花と果物
「私が言い出した訳じゃありませんよ。姫様が以前気にしてたんです」
バンシルは、サクナの不在と月のもので落ち込んだ姫に、子どもが出来てなかったと言われて、婚礼はまだ先ですよと諫めたことを思い出していました。
「ああ…そればっかりは、誰にもどうにも出来ねぇだろ。…孕んでくれりゃあ、今日みたいなあいつの変な遠慮も落ち着くのかもしれねぇが」
サクナはお茶を飲み干しました。
「お前、そんなのが本当の用件じゃねえだろ?前置きはその位にしろ。本題は何だ」
「お后様から、『婿殿に伝言』だそうです」
「なんだって?」
「『お宅の家令が普通じゃないって、スグリに上手く分からせときなさい』だそうです」
「…もうバレたのかよ」
「とっくにバレてたと思いますけど」
「あー……見逃して下さってたのか。おっかねぇなあ」
畏まりましたってお伝えしといてくれ、と言うとバンシルは承知しました、と頭を下げました。
「…魔女の娘は、お前だったか」
バンシルの方を眺めていたサクナは、椅子の背に凭れて呟きました。
「スグリじゃねぇだろうとは思っていたが、魔女の方は養娘を取ったんだな」
「どういう意味か分かりませんので、お答え致しかねます」
バンシルは眉も動かさず、声色も変えずに答えました。
「それ、充分答えだろ。そうだよな、あんな騙されやすい魔女なんて居ねえよな」
サクナは苦笑して、ふーっと息を吐きました。
「はっきり分かって、正直ほっとした。あいつが魔女なら…それでも構わねぇとは思っちゃいたが」
「魔女にお詳しいんですか」
「別に。仕事上付き合いがあるってだけだ」
「随分剣呑そうなお付き合いですこと」
「言っとくが、クロウは魔女じゃねぇからな。お后様はお見通しだろうが」
バンシルは、返事をせずにお辞儀を返して、言いました。
バンシルは、サクナの不在と月のもので落ち込んだ姫に、子どもが出来てなかったと言われて、婚礼はまだ先ですよと諫めたことを思い出していました。
「ああ…そればっかりは、誰にもどうにも出来ねぇだろ。…孕んでくれりゃあ、今日みたいなあいつの変な遠慮も落ち着くのかもしれねぇが」
サクナはお茶を飲み干しました。
「お前、そんなのが本当の用件じゃねえだろ?前置きはその位にしろ。本題は何だ」
「お后様から、『婿殿に伝言』だそうです」
「なんだって?」
「『お宅の家令が普通じゃないって、スグリに上手く分からせときなさい』だそうです」
「…もうバレたのかよ」
「とっくにバレてたと思いますけど」
「あー……見逃して下さってたのか。おっかねぇなあ」
畏まりましたってお伝えしといてくれ、と言うとバンシルは承知しました、と頭を下げました。
「…魔女の娘は、お前だったか」
バンシルの方を眺めていたサクナは、椅子の背に凭れて呟きました。
「スグリじゃねぇだろうとは思っていたが、魔女の方は養娘を取ったんだな」
「どういう意味か分かりませんので、お答え致しかねます」
バンシルは眉も動かさず、声色も変えずに答えました。
「それ、充分答えだろ。そうだよな、あんな騙されやすい魔女なんて居ねえよな」
サクナは苦笑して、ふーっと息を吐きました。
「はっきり分かって、正直ほっとした。あいつが魔女なら…それでも構わねぇとは思っちゃいたが」
「魔女にお詳しいんですか」
「別に。仕事上付き合いがあるってだけだ」
「随分剣呑そうなお付き合いですこと」
「言っとくが、クロウは魔女じゃねぇからな。お后様はお見通しだろうが」
バンシルは、返事をせずにお辞儀を返して、言いました。