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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第6章 敬語と命令
「びくっと?してないわよ?」
「してただろ。ローゼルと話させろって言う前に」
姫があまりにもけろっと答えたので、サクナは一瞬姫が気を使ってそう言ったのかと思いました。しかし、考えてみれば姫にそんなややこしいことが出来るとも思えません。もしかして忘れたのか、と思ったのですが。
「ああ…ううん。あれは、違うの」
「違う?」
サクナが聞くと、姫は少し躊躇う様子を見せたあと、小さい声で言いました。
「えっと…あれは、びくっとじゃないの」
「びくっとじゃ無ぇ?」
「うーんとね…びくっとじゃなくて、ぞくっとしたの」
「は?何言ってんだ?びくっととぞくっとは、違うのか?」
サクナは姫の言っている事が全く理解できなくて、思わず眉を寄せました。
「あの……変な子だって、思わない?」
「え?」
「説明しても変って思わないって約束するなら、説明する」
「あ?…ああ、分かった」
正直何が何だかほとんど分かっていませんでしたが、そう言わないと話が進まないので、サクナは姫に約束しました。
「あの…あの時、すごい冷たい感じで、『何だ』とか 『戻れ』 とか、言われたでしょ?」
「…言ったな。」
姫にそんな風に言ってしまった事を思い出して、サクナの胸は微かに痛みました。
「それで、ぞくっとしたの」
「……全く、分かんねぇんだが」
姫の説明を聞いてみても、相変わらずびくっとぞくっの違いは、サクナにはこれっぽっちも分かりませんでした。
「えっと、ぞくっと、っていうのは…き、きもちよくなるときみたいにっ」
「…は?」
姫は困ったような顔で頬を染め、もじもじと膝を擦り合わせながら言いました。
「かっ…かんじたの、ちょっとだけ。だって、今まであんな顔されたことないし、あんな声で命令されたこと無いし」
日頃も「やれ」とか「しろ」とか言われることはありましたが、そういう時のサクナの態度と今朝の態度は、まるで違っていたのです。
「あと、睨まれたりとかそういうのも、なんか…ぞくぞく、って」
姫が赤い顔のまま俯いて言い募るのを聞いて、サクナは寝台に突っ伏しました。
「あ!やっぱり変って思ったでしょ!!約束したのに!もうやだ!だから言うのやだったのに!!」
姫が恥ずかしさで目を潤ませながら突っ伏したサクナの肩をゆさゆさ揺すると、サクナの呻き声が聞こえました。
「してただろ。ローゼルと話させろって言う前に」
姫があまりにもけろっと答えたので、サクナは一瞬姫が気を使ってそう言ったのかと思いました。しかし、考えてみれば姫にそんなややこしいことが出来るとも思えません。もしかして忘れたのか、と思ったのですが。
「ああ…ううん。あれは、違うの」
「違う?」
サクナが聞くと、姫は少し躊躇う様子を見せたあと、小さい声で言いました。
「えっと…あれは、びくっとじゃないの」
「びくっとじゃ無ぇ?」
「うーんとね…びくっとじゃなくて、ぞくっとしたの」
「は?何言ってんだ?びくっととぞくっとは、違うのか?」
サクナは姫の言っている事が全く理解できなくて、思わず眉を寄せました。
「あの……変な子だって、思わない?」
「え?」
「説明しても変って思わないって約束するなら、説明する」
「あ?…ああ、分かった」
正直何が何だかほとんど分かっていませんでしたが、そう言わないと話が進まないので、サクナは姫に約束しました。
「あの…あの時、すごい冷たい感じで、『何だ』とか 『戻れ』 とか、言われたでしょ?」
「…言ったな。」
姫にそんな風に言ってしまった事を思い出して、サクナの胸は微かに痛みました。
「それで、ぞくっとしたの」
「……全く、分かんねぇんだが」
姫の説明を聞いてみても、相変わらずびくっとぞくっの違いは、サクナにはこれっぽっちも分かりませんでした。
「えっと、ぞくっと、っていうのは…き、きもちよくなるときみたいにっ」
「…は?」
姫は困ったような顔で頬を染め、もじもじと膝を擦り合わせながら言いました。
「かっ…かんじたの、ちょっとだけ。だって、今まであんな顔されたことないし、あんな声で命令されたこと無いし」
日頃も「やれ」とか「しろ」とか言われることはありましたが、そういう時のサクナの態度と今朝の態度は、まるで違っていたのです。
「あと、睨まれたりとかそういうのも、なんか…ぞくぞく、って」
姫が赤い顔のまま俯いて言い募るのを聞いて、サクナは寝台に突っ伏しました。
「あ!やっぱり変って思ったでしょ!!約束したのに!もうやだ!だから言うのやだったのに!!」
姫が恥ずかしさで目を潤ませながら突っ伏したサクナの肩をゆさゆさ揺すると、サクナの呻き声が聞こえました。