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イかせ屋…2
第2章 その男、絶倫につき…



「28…、今年の大晦日で29になる。」


少しふてくされたように昌さんが答える。

大晦日で29歳…。

……て事は大晦日が誕生日!?

ぷっ…。

笑っちゃった。

ますます昌さんが嫌な顔をする。

きっと色々な人に笑われて来たのだと思う。


「そうやってね。昌さんの事をもっと知りたいの。」

「だったら履歴書を書いてやる。」


床に座ってた私を抱き上げて自分の膝に座らせる。

彼の顔を少し撫でてみる。


「履歴書とかじゃなくて…、なんていうか…、なんで昌さんがイかせ屋になろうと決めたのか?とか、昌さんがどんな風に今の昌さんになったのか?とか、履歴書ではわからない部分をもっと知りたいの。」

「ふむ…。」


真面目な顔で考え込む昌さん。

厳つい顔で時々ちょっと怖いのに、基本はとにかく紳士で真面目という私には勿体ないくらいの人。

だから全てを知りたいと思う。

この人と結婚をするなら、少しでもこの人の支えになれる自分になりたいと願う。


「梓が知りたいと言うなら全部教えてやる。」


優しい昌さんのキス…。

丁度、ご飯が炊けたと炊飯器から短いメロディーが流れる。

日が暮れた。


「まずはご飯にしましょう。」


彼の手を握ってダイニングテーブルに向かう。

やっぱり幸せー!

危ないくらいに昌さんには夢中になってる。

そのせいで再就職の事とか全部疎かにしてしまってる自分にもちょっと不安はある。


「やっぱり梓の飯が美味い。」


ご機嫌で私が作るご飯を食べてくれる昌さんを見てるだけで不安が全部消えて行く。


「お代わり、いっぱいあるからね。」


そうやって1日が幸せに終わるのが嬉しかった。




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