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イかせ屋…2
第3章 その男、絶対的につき…
お生憎様…。
昌さんが選んだのはこの私…。
だから私は絶対に昌さんに相応しい女になってやる!
妙なライバル意識からか私には久しぶりにやる気が漲ってた。
着物の着付けが終わると鏡を見た初音さんが
「口紅の色が合わないわ。」
と私に言う。
ここは余裕の笑みでバッグからルージュを出す。
私のバッグには常に五段階の色の濃さのルージュが入れてある。
デート中に昌さんが突然、服を買ってくれたりするからだ。
私に似合いそうだと思うと、すぐに買っては着替えさせてしまう昌さんだからルージュだけは常にどんな服装でも対応が出来るようにしてる。
濃い紅に合わせて一番濃いルージュを筆で引く。
「ちゃっかりしてるわね。」
呆れる初音さんに
「昌さんと一緒に居ると、このくらいの備えは必要ですから…。」
と…とどめを刺す。
ふんっ!とお互いでそっぽを向くと昌さんが待つ店先へと戻る。
目を細めて昌さんが私を見る。
いつの間にか昌さんも着物に着替えを済ませてる。
私のそばに来て私の顔を撫でて来る。
「やはり、梓には京都に預けてた着物の方が似合うな。」
嬉しそうに私を見る昌さんに初音さんが
「本家に連れて行くの?」
と聞く。
「ああ…、梓は俺の嫁になる女性だからな。」
初音さんを見る事なく真っ直ぐに私だけを見て昌さんが初音さんに答える。
こういう時は間違っても私を不愉快にはさせない人。
他の女性は一切見ない。
私だけなんだと周囲の人に見せつけるような態度を絶対に崩す事がない。
やばいー!
昌さんのペースに流されてるー!
胸きゅんのまま何枚かの着物を受け取り昌さんと呉服屋さんを出た。