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イかせ屋…2
第3章 その男、絶対的につき…



再びリムジンに乗り、京都の街を走り出す。


「ねぇ…、初音さんって昌さんの親戚?」


私の質問に昌さんが少し驚いた顔をする。


「そうだ。母方の祖父の妹の孫、簡単に言うと母の従兄弟の娘が初音だ。」


なるほど…。

相当、遠縁の親戚なんだという事は理解する。


「初音が梓に失礼な事を言ったか?」

「ううん、着物くらい自分で着れるようになりたいと思っただけ…。」

「帰ったら教えてやる…。」


頬に優しいキス…。

私がやりたいと言えば全てを叶えてくれる。

ただ、何故そこまで昌さんが必死なのかがわからない。

愛してる…。

それはわかってる。

でも、それ以上の過保護を昌さんから感じる。

その答えは本家とかいう場所で見つかるのかしら?

京都の街はもう日が暮れるという時間に変わる。

次にリムジンが停まった場所は京都を知らない私にでもわかる場所…。

いわゆる料亭と言われる立派なお店…。


「ここは?」

「本家が経営する店だ。」


昌さんの言葉に緊張が走る。

本家が経営する…。

すなわち、こんな立派な料亭で恥ずかしい食事をする事は許されない。

食事のマナーをもっとよく勉強しておくべきだったと後悔する。

昌さんが私の肩を抱き、ゆったりと料亭の門を潜る。

やはり石畳の小道…。

その両脇には桜や紅葉が植えてあり、人口の小川の上を渡る石橋を抜けて店の玄関先へと向かう。

僅かな小道であっても四季を感じさせるという手の込んだもてなしを感じる。

昌さんがデートで私を連れて行くお店はほとんどがそういう一流のお店ばかり。

その原点がこのお店なのだと深く感じる。

店に入れば着物を着た女将が正座をして私達を丁寧に出迎える。



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