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イかせ屋…2
第4章 その男、弱い生き物につき…
真面目な顔で真っ直ぐに私を見る。
こういう時の顔は昌さんと同じ…。
質問に対して誠意を持って答えようとしてる顔。
「梓さんが知りたいのはイかせ屋の歴史ではなく、その男の歴史だね?」
清太郎さんが厳しい顔で言う。
清太郎さんと蔵を出て曽我家のような縁側に向かう。
さっきの中年女性がお茶とお茶菓子を持って来る。
「昌の何を知りたいのかな?僕にわかる範囲なら全て答えてあげるよ。」
清太郎さんが美しい茶碗に入ったお茶を優雅に飲みながらそう言って来る。
「昌さんから結婚をしたいと言われました。でも、私は迷ってます。私が迷えば迷うほど、昌さんが必死になります。それは何故なのかと思います。」
昌さんには素直に聞けないのに、清太郎さんの爽やかな笑顔には素直に聞ける気がする。
「難しい問題だね…。」
「難しいですか?」
「うん…、まず、昌は男だから…。男は弱い生き物なんだよ。」
「弱いですか?」
昌さんを弱いと感じた事はない。
いつも強くて私を幸せに導いてくれる人だ。
「弱いよ。昌はまだ強い方だと思うが、それでも、やはり弱いんだよ。」
清太郎さんの言いたい事の意味がわからない。
「昌さんは強いと思います。」
率直な意見として言ってみる。
昌さんが弱い人だとか認めたくない。
清太郎さんが寂しく笑う。
「そうだね…。梓さんが居れば昌は強くなれるかもしれない。」
「どういう意味ですか?」
「これは代々の悩みだからね…。イかせ屋はそのほとんどの男が自分の跡継ぎを残せてない。」
跡継ぎが残せない?
「それは…何故…ですか?」
何故か声が震えて聞いていた。
なんとなく嫌な予感がする。