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イかせ屋…2
第5章 その男、強引につき…
昼にはホテルを出て私と昌さんだけが新幹線に乗る。
そろそろ東京に戻る必要があるから…。
「ヒロ君は?」
京都に着いてからヒロ君の姿を1度も見てない。
昌さんが子供みたいにふてくされた顔をする。
「ヒロはしばらく『Beau』で修行をさせる。アイツは物覚えも良いし器用なくせに何かとやる事が雑なんだよ…。」
ヒロ君にはしばらくの間、エステでお客様を丁寧に扱うという修行をさせるつもりだと言う。
実際、私が本家に居る間にエステの研修でヒロ君にマッサージをやらせたら、お客様の役をしたエステの従業員の人の髪を引っ張ったり、肌に傷を付けたりとヒロ君の研修は散々な結果だったらしい。
「ヒロ君らしい。」
呆れて笑う。
「だからヒロを甘やかすなよ?」
昌さんも笑う。
よかった…。
いつもの昌さんだと思う。
東京に帰ってからの昌さんはいつもの昌さん。
毎日のように私とご飯を食べて私と居る。
時々…。
「ごめんな…、今夜は仕事がある。」
と言って夕方前に出掛けちゃう。
それでも深夜に帰って来ると私の愛を求めるように優しく私を抱く。
「出掛ける前にもしたでしょ?」
「梓はずっと抱いていたい…。」
いつもの胸きゅん…。
変わらない優しさ…。
それが当たり前に続くと思った。
自分で着物が着れるというスキルを私は習得した。
フッ…
ほくそ笑む。
梓はレベルが1上がった。
賢さが3上がった。
強さが2身についた。
ニヤニヤとする私に昌さんが聞く。
「次に梓がやりたい事は?」
あれから昌さんは結婚の事も跡継ぎの事も言わなくなった。
私の決心が付くまで待ってくれてるようにも見える。