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イかせ屋…2
第7章 その男、寛容につき…



昌さんを連れてとりあえず玄関には入り込む。

田舎では見慣れぬ着物を着る私と昌さんに驚愕するわかちゃんが叫ぶ。


「お義母さーんっ!ちょっと…お義母さん!」


更にバタバタと足音が鳴る。


「えっ!?何!?梓っ!?」


自分の娘に驚愕とかしないで欲しいと思っちゃう。

しかも…。


「お父さんっ!ちょっと…お父さーん!」


とお母さんまでもが叫び出す。


「いい加減にして!玄関に家族全員が揃うつもり?」


母と義姉を叱る事にする。

母と義姉が同時に口元を押さえる。


「こちらは曽我 昌さん。ちゃんと紹介をするから、とにかく上がらせて…。」


昌さんを一応紹介するとお母さんは慌てて


「どうぞ…。」


と昌さんに頭を下げる。

フンッとお母さんとわかちゃんから顔を背け、昌さんを連れて客間に向かう。

嫁であるわかちゃんがお茶を入れてる間に昌さんはお母さんに


「つまらないものですが…。」


と手土産を出す。

そんな事をしてるとお父さんと兄がのっそりと客間にやって来る。

お父さんは何も言わない。

昌さんすら見ようともしない。

その代わりに兄が、この家の次の主は俺だと言わんばかりにしゃしゃり出る。


「誰なんだ?」


兄の不機嫌な声…。

私が答えようとすると昌さんがお父さんに向かって正座をしたまま頭を下げる。


「このような時期に突然、押し掛けて申し訳ございません。曽我 昌と申します。現在、そちらの梓さんとは結婚を前提にお付き合いをさせて頂いておりますので、不躾とは思いましたが本日は御挨拶に伺わせて頂きました。」


見事な昌さんの挨拶だった。

さすがにお父さんが目を丸くする。

人見知りがあるお父さん…。

風太君はお父さんに似たんだと思う。



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