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イかせ屋…2
第7章 その男、寛容につき…



人見知り風太君は相変わらずらしく、お茶を配るわかちゃんにしがみついてる。


「「結婚!?」」


わかちゃんとお母さんが同時に叫ぶ。

昌さんの挨拶が自分向けじゃない事が気に入らなかった兄が嫌な顔をする。


「今、梓とは結婚を前提とか言われましたが、失礼ながらそちらのご職業は?」


偉そうに兄が言う。

農家は第一産業だ!が自慢の兄。

偏差値の低い農業高校だったから私に嫌味でそれを言う兄。


「『Beau』の社長さんよ。」


昌さんの代わりに私が答える。

実家にはまさか私が前の男に騙されて昌さんと出会ったとか言う訳にもいかず、昌さんとの出会いは私がOL時代に『Beau』に通ってたから出会ったという設定にした。

田舎の農家の家族…。

当然、風俗のイかせ屋を受け入れる訳がない。


「嘘っ!?あの『Beau』の社長さん!?やだぁ…凄いー!?」


無邪気なわかちゃんが黄色い悲鳴を上げる。

もしもし?わかちゃん?

あなた…エステなんてお金の無駄遣いをする場所だと言ってませんでしたか?

わかちゃんの黄色い悲鳴に兄がますます機嫌を悪くするから私はそんな嫌味を言いたくなる。

お母さんは


「それは…それは…。」


と目を丸くして感心するだけ。


「とにかく、そういう事だから…。」


そう言ってこの状況をさっさと終わらせようとする。


「うちの梓はどこにも嫁にやらん!」


まさかのお父さんの叫び声だった。

この声には私だけでなく、兄もお母さんもわかちゃんも驚愕する。

お父さんはすぐに立ち上がるとスタスタと客間から出て行く。


「ちょっと…、お父さんっ!」


お母さんが慌てて声を掛けたけども、お父さんは家からも出て行ってしまう。


「申し訳ございません。今日は帰ります。日を改めてまた出直して参りますから…。」


今度は昌さんがお母さんにそう言って立ち上がる。



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