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イかせ屋…2
第7章 その男、寛容につき…
「待って!昌さん…。」
当然、私が慌てて昌さんに叫ぶ。
昌さんは穏やかな笑顔を崩さない。
「大丈夫…、ホテルに居る。何かあればすぐに迎えに来るけれど出来れば梓には今夜は家族とちゃんと話し合って欲しいんだ。」
そんな言葉だけを残して昌さんまでもがこの家から出て行ってしまう。
残された私には怒りしか湧いて来ない。
「どういう事!?大体、何の為に私をここまで呼び出したのよ!」
客間で兄とお母さんに向かって叫ぶ。
ビクリとした風太君がわかちゃんの後ろに隠れる。
お母さんは困った表情を兄に向ける。
「正広の同級生の方がね。お嫁さんを探してるって言うから梓なんかどうか?って話があったのよ。」
気まずい顔でお母さんが言う。
「はぁ!?冗談じゃないわよ。嫁に出すつもりなんだったら、なんでお父さんが昌さんとの事を反対とかする訳?意味わかんないし…。」
完全にキレッキレの私。
「大体、お前が悪いんだろ?」
始まった。
兄のお前が悪いんだろ説。
兄が悪くとも、祖母が兄の味方をするから100%を私が悪いで終わらせて来た兄の私が嫌いな部分。
「止めてよね?勝手にお見合いとか用意をしておいて、自分達の思い通りにならないからって悪者にされるのは迷惑よ。」
兄に言い返す。
「はぁ!?お前がろくに連絡もして来ない。結婚をするつもりかもわからない。そろそろ行き遅れても不憫だろうと見合いの話を受けただけだぜ?」
「そういうのが大きなお世話っていうの。お望み通りに行き遅れにはなりませんから、反対をされる言われはないわ!」
「反対をしたのは父さんだけだ。田舎者の地味な父さんの目の前にいきなりあんな着物を着たキザな男を見せつけたら、父さんがビビって反対するのは当たり前だろ?」
「もういいっ!だから田舎って大っ嫌い!私は昌さんと結婚します!この家を出ます!だから、もう私の事は放っておいて!」
派手な兄弟喧嘩の末に私は客間を飛び出した。