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イかせ屋…2
第7章 その男、寛容につき…



だから、わかちゃんに聞いてみる。


「風太君は跡継ぎにする為だけに産んだの?」


私の言葉にわかちゃんが首を横に振る。


「お義父さんとお義母さんには悪いけど、風太には風太が進みたい自分の道を見つけて欲しいと思う。風太が跡を継ぐのが自分の道だって決めたら、それはそれでいいと思うだけよ。」


わかちゃんが畑を見ながらそう呟く。


「お義父さん…、自慢の娘だから…、梓ちゃんをお嫁に出したくないんだと思う。」


わかちゃんが笑うから足袋を脱いで庭にあったサンダルを履く。


「お父さんとデートをして来る。」


真っ直ぐに畑に向かって歩き出す。

臭いから汚いからと近寄らなかった畑。

そのせいで無口なお父さんと会話をする方法がわからなくなってた。

私が畑に近寄ると


「綺麗なべべが汚れんぞ!」


お父さんが怒鳴る。


「汚れてもいいよ。」


私は笑って答える。

照れ屋なお父さんが耳まで真っ赤にして私のところに歩いて来る。


「せっかく綺麗な着物を着せて貰っとるのに、贅沢を言っちゃいかんよ。」


お父さんが私を心配するように叱る。


「うん、わかってるよ。」


昌さんのように笑顔を絶やずに言う。

お父さんは私が心配なだけだと感じる。

昌さんが立派な人だから農家の娘が嫁いでも大丈夫なのかと心配をしてる。


「ばぁちゃんが余計な事ばかりをお前に言ったと思う。正広までばぁちゃんの影響を受けた。だけど俺はお前を嫁に出したいとか1度も思った事はない。」


無口なお父さんが必死に私への気持ちを伝えようとしてくれる。


「うん、私って自慢の娘らしいね?」

「そうだ…。」


お父さんが照れたように笑う。



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