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イかせ屋…2
第8章 その男、酔っ払いにつき…
お正月の朝でもお父さんと兄は畑に向かう。
やっぱり農家って大変な仕事だなと感心をする。
それに比べて…。
「そろそろ朝食だけど、昌さんを起こさなくていいの?」
わかちゃんが私に聞いて来る。
お母さんに頭痛薬と胃腸薬を貰って昌さんを起こしに行く。
まだ、だらしなく寝てる。
ぺしっ…と頭を平手打ち。
「梓…?」
顔を顰めた昌さんが目を開けた。
「そろそろ朝食ですが、昌さんはまだ寝ますか?」
冷たく聞いてやる。
さすがに昌さんが飛び起きる。
「まさか!俺っ…。」
昌さんが驚愕の顔をする。
まずは頭痛薬と胃腸薬を飲ませる。
「梓…?」
「やらかしました。」
「マジか…!?」
わかってた事でしょ?
呆れちゃう。
「何をした?」
恐る恐ると聞いて来る。
新たな身体の開発です。
今はそんな話をしてる場合じゃない。
「続きは帰ってからね。朝食を済ませて挨拶を済ませたら東京に帰りましょう。」
昌さんにキスをする。
昌さんも着物に着替えて顔を洗う。
多分、二日酔いだけど私の実家だからと、かなり我慢をしてるのがわかる。
朝食はおせち料理にお母さんが作ったお雑煮。
気まずいから誰もが口数少なく食べる。
「梓、もう帰るの?」
お母さんが聞いて来る。
「曽我のお家のお正月の挨拶がまだだからね。」
そう答えた私にお父さんが
「さっさと帰れ。」
と言ってくれる。
私を追い出す為の言葉じゃない。
昌さんの家を蔑ろにしてる嫁と思われたら私が辛い思いをすると心配をしてる言葉。
「次はお父さんが東京に来てね。」
「俺は行かん。正広と母さんに行かせるから。」
都会が怖いお父さん。
だけど曽我のお家にご挨拶が必要なのはわかってるお父さん。
「ありがとう。」
お父さんにそう言って私は実家から出た。