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イかせ屋…2
第9章 その男、ヤキモチ妬きにつき…
なんでこんな場所に?
「本当に知らない人になっちゃったね?」
着物を来た私を見る植草君が寂しげに笑う。
前の会社の同僚…。
私の事を多分好きだった人…。
その気持ちに私が答えられなかった人…。
「何をしてるの?」
「今日は仕事が休みだから身体を鍛えに来た。」
植草君がジムを指差す。
なるほど…。
私が通うお料理ジムの1階と2階は本当のスポーツジムになってる。
私は3階にあるお料理ジムに通ってる。
「同じジムなんだ。」
「杉田さんも居た?」
「私は上の階で腕を鍛えに来てるの。」
「うわっ!?すっげーな。」
サバサバとした植草君との会話は馬が合うからついつい弾む。
「そんなに女子力のスキルアップしてどーすんの?」
「結婚をするの…。」
植草君が目を開く。
「そう…、なんだ。おめでとうございます。」
「ありがとう…。」
胸が痛いと思った。
「今度さ、良かったら結婚祝いさせてよ。」
「えっ?いいよ、そんなの…。」
「彼氏はうるさいタイプ?」
「そうじゃないけれど…。」
「なら、彼氏付きでもいいからさ。」
サバサバとした人だから本当に親切だけで言ってくれてる。
車のクラクションが聞こえた。
「ごめんなさい、迎えが来たから…。」
「また電話するよ。」
「うん…。」
慌てて昌さんが待つ車に乗り込む。
「お待たせ。」
普通に昌さんにそう言う。
「清…、急いでくれるか?」
昌さんが急かす。
「急いでるの?」
「今夜は仕事だからな。」
なんか不機嫌だと感じる。
「仕事なの?」
「悪いか?」
居直ったような言い方。
今までこんな言い方をされた事なんかない。