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イかせ屋…2
第10章 その男、イかせ屋につき…
そのホテルの前で車は走り去る。
ここからは0時まで私とイかせ屋だけの時間。
「どうぞ。」
イかせ屋は私の肩を抱いてレストランまでをエスコートする。
今回のレストランでは個室になる。
コース料理。
私だけワインを飲む。
「何故、こんな事を?」
昌さんがもう一度確認をする。
「オーダー通りと言ったはずです。」
「梓…。」
泣きそうな顔をする昌さんに私までもが泣きたくなって来る。
弱い昌さんを追い詰めてる。
「こんな事をしなくても…。」
「こんな事?これがあなたの仕事でしょ?」
弱い昌さんを責める。
「わかってくれてると思ってた。」
「わかってるから依頼をしたのよ。」
ここまでしないと割り切れない自分が情けないとは思う。
ただ、ひたすら昌さんを傷つけてるだけだとわかってる。
それでも、この先を泣いて暮らすのは嫌だと思う。
昌さんと結婚しても泣き続ける事になる。
破局しても泣き続ける事になる。
ならば、どこかで割り切らなければならないと決心をした。
その決心を昌さんに伝えるのに、こんなやり方しか思い浮かばない。
「覚悟が出来てるのなら…。」
「ええ、もう充分に出来てます。」
食事が終わり昌さんが私の手の甲に口付けする。
その手には昌さんがくれた指輪が光ってる。
肩を抱かれて部屋へと移動をする。
相変わらずの見事な夜景が私の目に飛び込んで来るスイートルーム。
「やっぱり素敵ね。」
窓の外を見る。
うなじにキスされる。
「始めようか…。」
背中の帯が解かれて着物を脱がされる。
長襦袢だけになった私を軽々と抱き上げてベッドへと運ぶ。
イかせ屋との夜が始まった。