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イかせ屋…2
第10章 その男、イかせ屋につき…
ふわりと身体が抱き上げられる。
何?
サラサラの髪が私の胸に当たる。
「止めよう…、俺には無理だ。」
その言葉で目を開ける。
私にしがみつく昌さんが居た。
サラサラの髪を撫でてみる。
「違約金ならいくらでも払う。梓が望むならイかせ屋も辞める。俺の代で終わらせる。跡継ぎも要らない。だからっ…!」
切羽詰まった声。
完全に追い詰めてしまったと後悔する。
「だから…?」
彼の頭にキスを落とす。
「俺は俺のまま梓を抱きたい。イかせ屋として抱かせるのだけは止めてくれ。」
半泣きの昌さんの声…。
そこまでしてるのに嬉しいと思う自分が居て、そんな自分が嫌いだと思う。
「イかせ屋は辞めなくていい。跡継ぎは本人の意思に任せたい。でも条件が1つだけある。」
情けない顔の昌さんが私を見る。
「条件?」
「2度と私以外の女とスカイツリーでデートをしないで…。」
「あれは…、だからっ…!?」
何故か昌さんがアタフタする。
いつもなら紳士でスマートでカッコいい男。
だけどちょっとお馬鹿さんで私にはすぐに情けない顔になる男。
昌さんと初めて色々と話をする。
「俺、馬鹿だから…、兄貴やみんなに馬鹿にされてるのもわかってる。」
馬鹿だけど自分がそうしようと思うと止められずにそれに向かって真っ直ぐに進んでしまうのが昌さん。
真っ直ぐにお母様の為だとイかせ屋になった。
生半可な覚悟じゃダメだと親分様に言われて背中に刺青を入れた。
私が欲しいと思うと真っ直ぐだから止められずに馬鹿な事を繰り返したと昌さんが後悔を話す。
「反省してるの?」
「してるから梓に連絡をしなかった。つまらないヤキモチで梓の自由を奪ってるんじゃないかとか考えた。親父から梓が居なくなったらどうやって生きて行くつもりだと怒られて、俺なりにすげー悩んだんだ。」
子供みたいに拗ねた昌さんが言う。