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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです
「では、私共から花婿へ、花嫁の引き渡しを……ビスカス」
「はい」
「あら。お前なの?タンムじゃ無かったの」
いよいよ踊るかってとこでタンム様が俺を呼んだら、奥方様が声を上げた。異議申し立てかね。婚約の異議申し立てってなぁ有るが、踊る人選への異議申し立てってなぁ有るんですかいw
「御義母上。今朝ご説明したと思いますが……私は足を傷めたので、ビスカスと役割を代わって貰ったのですよ。父上様が踊れないもので」
そう。旦那様ぁ、踊らねーんだよな。下手クソだからか、体が悪いからか、お嫌いなのか……理由は知らねえ。
「そうなの?でもねぇ」
タンム様が説明して下すったってのに、奥方様はイヤーな目で俺を見た。
「兄のタンムならともかく、ビスカスは他人の独り者の男ですよ?嫁入り前のローゼルに触るのは、ちょっと…ねえ」
あー、クッソめんどくせ。
この面倒くささと分かれられんなぁ、ほんと嬉しいわ。
「お義母様!」
「畏まりました、奥方様」
俺は、何か言いかけたお嬢様を遮った。
花嫁様ぁ、喧嘩なんざしちゃあいけねーですよ?今日くれぇ大人しくなさってて下せぇねー。
「奥方様の仰る事は、ごもっともです。ローゼル様はご結婚の決まった御体ですから、私奴が触れる事へのご心配はお有りでしょう」
俺ぁ、お嬢様を見た。
最後くれぇ女狐に難癖付けられたくねーですよね?お嬢様も。
「なので、ローゼル様の掌と腕以外、触らずに踊りましょう」
「何ですって?」
「あらまあ」
触るな問題の言い出しっぺの奥方様はキッとなり、大奥様が面白そうな顔をなすった。
「……大丈夫なのか?」
「はい、タンム様。ついでに、歌も結構です」
「え」
「手拍子だけはお願いします。短い踊りです、それで十分です」
「……分かった」
俺も、意地が有りますからねー。これから芸人として行きてく上での意地が……ってなぁ冗談ですぜw
「ローゼル様」
俺が呼び掛けると、お嬢様はびくっとなさった。大丈夫ですよ?何にも無くても踊れまさぁね。お嬢様と俺が踊んですから。
「……長年のお約束を果たさせて頂きます」
お嬢様にだけ聞こえる位の小せぇ声で呟いて、手を差し出して、全身全霊で微笑んだ。
隣のお坊ちゃんがどんな面ぁしてんのかは、敢えて見ねーよw
「どうぞお手を、ローゼル様。最後のお供です」