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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです
「初床って……!ちょっと、お待ちになっ」
「嫌」
「嫌って……ほんとに、ちょっと待って下せ」
「駄目」
「や、駄目って」
「駄目よ。さっき、助けてくれるって言ったじゃない」
「そうですけど……っお嬢様っ!?」
「……何?」
あああああ。
不機嫌の極みみてぇな声を返されたお嬢様は、俺の上衣を肌蹴終わって俺の下衣に手を掛けた所だった……が、すっかり涙目になっていらっしゃる。
「また、泣いてんじゃねーですか……」
「だって……お前、また逃げるかもしれないじゃないの……脱がせたら、逃げられないもの」
ぐはぁ……なんなんだ、このいじらし過ぎる生き物ぁ!
俺ぁぐずぐず鼻を鳴らしてるお嬢様を抱き締めて、頭ぁ撫でて差し上げた。
情けねえ……お嬢様を涙目にさせてこんなこと言わす、俺の覚悟の無さよ……。
決めた。
もう俺ぁ、四の五の言わねーよ。これで肚ぁ括らなかったら、男じゃねぇやな。
俺は上に乗ってらっしゃるお嬢様ごと、ころんと横に転がった。
「あ!」
「安心なさって下せえ。もう、逃げやせん」
「ほんと?」
ほっとした様に笑うお嬢様のおでこに、おでこを付ける。また熱が移りそうでさあ。
「お助けするってお約束も、守りやす。でも、その前に、ちっとばかり大事なお話が」
「……大事な話?」
肚ぁ括ったっつっても、言いにくいねー。サクナ様にも、あんなに驚かれたしねw
「俺ぁ、もう嘘は吐きやせん。俺が嘘を吐いたから、お嬢様をあんなに泣かせる事になっちまったんです」
「そう……そうね……?」
「なので、正直に、言いやすけど……」
「ええ」
俺は緊張の余り、ごくりと唾を飲み込んだ。
「お嬢様の為に今日まで女を抱いた事の無ぇ今の俺と、お嬢様の為にどっかで女の悦ばせ方を習って来た明後日くれぇの俺と、どっちの俺が良いですかっ?!」
……言っちまいました。
今なら、お好きな方を選べます。
「………………ビスカス……?」
「へい……」
すんげー固まった後で、お嬢様が口を開いた。
……あ。もう一個有ったわ、選択肢。
この年になるまで女を知らねー男なんざお断り、って選択肢が有った……うぐっ。
「もしかして……女と……したこと、無いの……?」
「……へい。」
そうなんでさあ。女だけじゃなく、男とも犬とも猫とも馬とも勿論ウサギとも、有りやせん。