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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです

「女として見てようが惚れてようが、お嬢様が本気で嫌がる事をわざわざする様な趣味は、俺にゃあねーです」

 俺ぁ、お嬢様ん中の小せぇお嬢様を、なるったけ大事にしてやりてーんだよ。それは、俺の恩人でもある奥様が、お嬢様にしてやりたくても出来なくなっちまった事だ。お嬢様をずっと大事にするってなぁ、亡き奥様にお約束した事でもあんだよな。
 もしもその小せぇお嬢様が大人になりてーって言い出した時にゃあ、怖がらせずに、ゆっくり付き合ってやりてーよ。泣かせてまで、無理になんとかしなきゃいけねぇ事じゃねぇだろうがよ、お坊ちゃんよ。

「……嫌がらない事は?」

 頭ん中のお坊ちゃんに説教してたら、思いも寄らぬ呟きが耳をすり抜けてった。

「……へ?」
「嫌がらない事なら、してくれるの?」
「へっ??」

 お嬢様……仰る意味が、分かりま……


 ……分かっちゃいけねー様な気がします。

 俺が無言で固まってたら、お嬢様が上目遣いで眉を顰めて、またぶつぶつおっしゃった。

「……私が困ってたら、助けてくれるって言ったわね?」
「へい、勿論」
「困ってるわ、今。今、助けなさい」
「畏まりました。何にお困りで?」

 今この体勢で言い出すなんて、お嬢様ぁよっぽど困ってらっしゃるんだねー?ほんのり漂った色っぽい空気が、仕事の空気に変わりやがったわw

「……鈍くて頑固で甘やかし屋の護衛に、私が今からここで寝るのを手伝って欲しいの」
「へ?寝かしつけですかい?」

 眠れねーのか、お嬢様。何年振りかね、お嬢様の寝かしつけ。

「……そうね。寝かしつけかしら……一人じゃ無理なんだもの」
「え?」

 細い指が、襟の辺りをくすぐる。
 きちんとした襟元にうるさい筈のお嬢様が、何故か俺の襟元を緩めた。

「すごく困るの、このままだと。リアンが言ってたでしょう?婚約には、期限が有るって……このまま朝が来たら、また別の人とお見合いしなくてはいけなくなるわ」
「え!そりゃ困り……え、え、ちょ」

 襟元を寛げ終えたお嬢様は、俺の服を脱がし始めた。

「助けてくれるんでしょ?ビスカス。今から、私の初床を手伝って」


 初 ・ 床 ……。


 お嬢様……俺にお手伝いして欲しい寝かしつけってなぁ、大人の寝かしつけだったんですかい!?
 俺の小せぇお嬢様は、気が付かねぇ内に、するりと大人になっていた。
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