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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第5章 相手を見てからお願いします
●月●日
「ビスカスさーん!!」
ある日俺が薪の準備をしていると、お姫さんの声がした。
「こんにちは!何やってるの?」
「こんにちは、スグリ様。薪を準備してるんでさぁね」
お姫さんはたいていにこにこしていて、面白そうなことがあると目やら手やらをくるくるしている。
今日もそのカヤネズミっぷりは、安定の可愛さですね。
旦那が怖ぇんで、言いやせんが。
「サクナ様はどうなすったんで」
「クロウさんとお仕事してるわ」
今日はまだ屋敷から出勤されて無ぇ気がすると思ったら、そうでしたか。
そりゃ、さぞ鬱々したお仕事なんでしょうな。
「ねえ、それ運ぶの?」
「ええ。この辺りは都と比べりゃ暖けぇですが、それでも寒い日もありますんでねぇ」
温室以外は温度を上げなきゃ居られねぇような日はそんなに無ぇが、それでも毎年幾日かは冷え込む日が有る。
なもんで、いくらかは備えておく必要があるんでさぁね。
「それ、私も運べるかしら?」
「え。」
いやいやいや。
何言ってんですか。
「運ぶだけで良いの?良かったら、手伝わせて?」
「や。汚れるし、第一、力仕事ですぜ」
「大丈夫よ。外に出るから、汚れてもいい服着て来てるもの。これ、持ってったらいい?」
「え、いやいやいや、重てぇですか…ら…」
…ちょっと待て。
俺は今、何を見ているんだ。
「ビスカスさーん!どっちに運ぶのー?」
おい。
薪だぞ。
束だぞ、一本じゃねーぞ。
けっこうな重さだぞ。
ひょいと持てるような物じゃねーぞ?!
いや…もしかして、軽いのか?
俺はお姫さんの真似をして、薪をひょいっと持ち上げ…ることは、出来なかった。
うん、やっぱり重いな。
すげーな、スグリ様w
お姫さんってのは、みんなこんななのか?!
…んな訳ねーか。
「今行きやすんでー!待ってて下せぇ、スグリ様!」
俺は薪を一束抱えると、慌ててスグリ様の方に向かった。