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SSS
第8章 彼を隔つもの

「あ、ちなみにさぁ」
凪は額の痛みに顔を顰めながら喋る先輩に目を向ける
「せっかく頑張って練習してたのにって、谷田が言ってきたんだよなぁ」
全身に、熱いものが巡った
ようやく頭がはっきりしたのは家に帰ってからのこと
とりあえず今日は帰れと送ってくれた担任と、連絡を受け急ぎ帰宅した自分の母親が話し込んでいるところだった
「そんな…凪が……」
「ああいえ、ですから凪くんはほとんど悪くないんです。
ただ故意でないとはいえ一人が重症を負ってしまったので……」
止めに入った先生の容態がはっきりするまで、形式上だけでも停学という形を取らせて下さい
そう言うと、担任は虚な凪にチラリと目をやってから頭を下げ帰って行った
「…わざと…じゃ、なかったんだ……」
掠れた声が喉から出て行く
「分かってるわ。あなたはそんな子じゃない」

